あなたが幸せになるための朝(成)

あなたが幸せになるための朝(成)

怪物は再会する①

生きているとは思わなかった。 歳は十八ほどか。食いでのある年頃だ。少女という呼称は変えるべきかもしれないが、昨日の今日で成長して現れたような錯覚がまだ、この人間を少女と呼称させる。「死」の可能性に満ち...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女の理想②

「どうだった? あいつ頭おかしいでしょ」 師匠が平然と生きている辺り、この組織に不敬罪は無いらしい。 ただ、条文の有無と人心は無関係だ。求職中の構成員、受付窓口や管理役員らの視線を避けて往来に師匠を引...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女の理想①

――よく光の射す私室だった。 大きな窓硝子は、濡れた水の膜に似て艶やかだ。樹木の緑鮮やかな背景と洗い上がりの陽光に照らされ、壮年の男性が皮張りの椅子に座している。 彼は両手の指を机上で組み、私へ柔和に...