あなたが幸せになるための朝(成)

あなたが幸せになるための朝(成)

彼女は疑う②

師匠はおそらく回答を待っていた。 さらしを巻き直しながら思い当たる「変化」は、私の心境ではないが。「最近、私が怪我をしていると、私よりも痛そうな顔をする方がいるんです」 薬が匂うかと処置を変えても的確...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女は疑う①

依頼の単身受託を開始して以来、師匠の討伐依頼に同行を求められたのは初めてだった。 厄介な幻覚の異能を持つ鬼をはじめ処理は複数体、依頼元への報告も滞りはない。連携がないと手こずる個体ではあったが、連れて...
あなたが幸せになるための朝(成)

閑話:いつもありがとう②

サクと師弟の三人は、師匠《ヨウ》の自宅で食事の席を設けた。 軽い煮炊きや給仕の傍《かたわ》らそわつく琥珀を微笑ましく見守りながら、ひとり調理の苦手なサクは食材調達と酒の担当である。「師匠、よろしいです...
あなたが幸せになるための朝(成)

閑話:いつもありがとう①

便利屋本部の屋内で、鬼の討伐案件を終えて血塗れた大男が話し込んでいる。 依頼完了の報告を済ませて帰路につこうとしたサクを、ひとりの「少年」が呼び止めた。「お疲れのところすみません。お時間をいただけませ...
あなたが幸せになるための朝(成)

怪物は変化に気付く

「マキさんは白雪姫だと認識していました」 吸血鬼《おれ》の変身能力を悟られていないか探りを入れたところ、返答がこれだった。 北の街の茶店は従業員の干渉がない店を選び、阻害術式を薄く張る。仮に聞こえても...
あなたが幸せになるための朝(成)

怪物の誤解

「お前の黒髪は美しい」と、言葉を掛けられていた。 偶然に少女を見掛けた。中央を訪れているとも知らなかった――そして隣に男がいた。 男と連れ立って市街を散策し、菓子店に目を輝かせる。真剣な表情で吟味した...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女のおつかい③

「誠にありがとうございました。貴方様のお力添えのお陰で、我が主人《あるじ》にお喜びいただける逸品が見つかりました」「うむ、それは何よりだ」 むんと胸を張る貴族殿は、滞在先の宿屋まで私を送り届けた。この...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女のおつかい②

師匠曰く、無所属《フリー》で食っていける状態が理想である。 この組織に長居するな、依存するなと事あるごとに師匠は言う。経験年数《キャリア》が浅いと足元見られるので此処は実績を積んで名を売るための踏台に...
あなたが幸せになるための朝(成)

彼女のおつかい①

腰に帯刀しては引きずりかねないと。基礎修練開始時にやむなく選んだ背負《しょ》い紐付きの直刀はだいぶ馴染み、成長した今も心強い愛刀となった。 暗器と小道具を各所へ仕込み、薬毒物は優先順位で厳選する。現地...
あなたが幸せになるための朝(成)

怪物は再会する②

「タタラの所の退治屋? そうねぇ、北の土地守《ばけもの》に挨拶に来てくれた人間なんて初めてだし、面白いから茶飲み友達にもなってあげてるけど。それがなぁに?」 赤を帯びる金髪《ブロンド》は、やわらかな桜...