夜を越えて、きみと プロローグ わたしには、記憶、というものが無いようなのでした。 曼珠沙華が一輪咲いただけの、雑草の伸び放題な空き家の庭先。わたしのはじまりはそこでした。幼い子どもが真っ赤なクレヨンで力いっぱい描いたような、少しか... 夜を越えて、きみと